レスポンシブル・ケア検証

レスポンシブル・ケアは、環境・安全・健康面のパフォーマンスを向上することにより、社会からの信頼を得ようという、化学産業の自主的取り組みです。
この自主活動の質を高め、且つ活動に対する説明責任を果すため、日本化学工業協会は、レスポンシブル・ケア検証(以後RC検証と略す)を実施しています。
レスポンシブル・ケアを世界的に推進している国際化学工業協会(以後ICCAと略す)も、検証の実施をレスポンシブル・ケア憲章(レスポンシブル・ケアに関する基本方針)の中に明記しています。

2002年に開始されたRC検証は、当初活動の検証のみでしたが、2003年より報告書の検証も行っています。実際の検証業務は、日本化学工業協会RC委員会の下部組織であるレスポンシブル検証センターが行っています。 

1. 目的
  レスポンシブル・ケア検証は、「環境・安全に関する日本化学工業協会基本方針」(2005年改訂)及び「レスポンシブル・ケア コード」に基づいて行なわれている、会員のレスポンシブル・ケア活動の内容と成果を客観的に評価することにより、会員のレスポンシブル・ケア活動の質を高めること、及び検証制度、受審状況を公表することにより、活動に対する説明責任を果たし、レスポンシブル・ケア活動の信頼性の向上に資することを目的としています。
2. 検証内容と検証に用いる基準
1) 検証内容
  会員が実施しているレスポンシブル・ケア活動の内容を、「レスポンシブル・ケア コード」を基準として、定量的に評価し、評価結果を評価文書として受審企業に提供します。また、会員が発行しているRC報告書の記載内容の正確性、合理性に関する審査も実施しています。
2) 検証に用いる基準としてのレスポンシブル・ケア コード
  RC活動を評価する基準として使用するレスポンシブル・ケア コードとは、レスポンシブル・ケアを実施する際の基本的実施事項を定めたものであり、現在考えられる範囲での理想的姿を描き、この達成に必要な事項を記載しています。このコードは、7つの個別コードから構成されています。[環境保全]、[保安防災]、[労働安全衛生]、[物流安全]、[化学品・製品安全]、[社会との対話]といった活動分野毎の6つのコードと、これらをシステムとして共通に運用していくための [マネージメントシステムコード]の計7つです。
これを模式的に示したのが下図になります。
  レスポンシブル・ケアコード模式図
3) 検証範囲
  受審企業は、検証範囲について、上記7つのレスポンシブル・ケアコードに対応した7つの活動分野、及びRC報告書の中から自由に選択できます。
3. 組織
1) 検証組織
  検証組織は、日本化学工業協会RC委員会の下部組織であるレスポンシブル・ケア検証センター(以後、検証センターと略す)より構成されます。検証評議会は、検証制度の公正性を確保する目的で設置され、制度運用の監視、及び改善勧告を行います。各組織の関係を下図に示します。
  レスポンシブル・ケア検証組織関係図
2) 各組織の役割分担
 
  • RC委員会は、評議員を任命し、検証に係る文書の制定、改訂を行います。
  • 検証評議会は、下記の業務を行います。
    1)評議会は、RC委員会委員長より委嘱を受けRC検証制度に係わる仕組みに関する助言を行う
    2)検証制度に係わる基準、規定類に関する助言を行う
    3)検証制度の運用に関する助成を行う
  • 検証センターは、検証実施、評価文書の作成・発行等の検証業務を行います。
3) 検証員の資格要件等
  検証員は下記3つの資格要件を満足する業界の専門家で、面接、研修受講、テストを経て検証評議会から認定されます。そして、検証員は、毎年、追加研修を受け、検証スキルの維持・向上に努めています。
1)レスポンシブル・ケア活動に係る十分な経験と専門知識
2)ISOの審査員又はこれに順ずる資格・経験、又は評議会が認める国家資格
3)必要な学歴
検証員には、通常の検証員と主任検証員の2種類があります。主任検証員は検証センター長が、一定の経験を経た検証員の中から任命します。主任検証員の役割は、検証員の監督と検証業務の進行管理です。
4. レスポンシブル・ケア検証の特徴
1) 活動の検証
 
1. 化学業界の専門家2名(主任検証員と検証員)によるピァーレビューです。業界のレスポンシブル・ケア活動に関する豊富な経験と知見を有する専門家によるピァーレビューです。
2. ISO審査のようにシステムの有無とシステム稼動の有無を問うシステム審査、企業の内部監査で行われる成果を問うパフォーマンス審査だけでなく、その先にあるシステムの運用方法、活動の実施方法に焦点を当てたハウツー審査を行っています。ハウツー審査はPDCAサイクルのアウトプットを増加させることを目的としており、活動の成果を高めることに役立つ助言、コメントを提供することを目指しています。従って、認証は行いません。
3. ISO審査に比べ、格安の費用を設定しています。
4. 受審企業は、7つの活動分野及びRC報告書から自由に検証範囲を選択できます。
5. 検証に際しては、質問表を使用します。質問表に対する回答及び証拠資料から評価基準に基づいて活動を5段階で評価します。
6. 評価は、検証センターに提出された回答と証拠資料について、企業による自己評価と検証員評価を実施します。両評価の違いを中心に検証を進めます。
2) 報告書の検証
  RC報告書の検証は、下記4点について、専門家としての意見を表明することを目的としています。
 
1. パフォーマンス指標の算出・集計方法の合理性、並びに数値の正確性
2. パフォーマンス指標以外の記載情報の証拠資料・証拠物件との整合性
3. レスポンシブル・ケア活動の評価
4. 報告書の特徴
  この中で、特徴的なのは、レスポンシブル・ケア活動の評価の項目です。また、事業所での検証に於いては、文書による検証だけでなく、証拠物件との照合を行っています。
5. 検証関連文書
 

(文書番号) (文書名)
◇RCV RL-1 レスポンシブル・ケア検証に関する基準 (PDFファイル 103KB)
◇RCV RF-1 レスポンシブル・ケア検証の概要 (PDFファイル 218KB)
◇JRCC RL-2 レスポンシブル・ケアコード(全文) (PDFファイル 360KB)