「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」の発足

会長挨拶

プラスチックを始めとする化学製品は、人類の社会生活上、必要不可欠なものです。一方で、プラスチックが有する耐久性等の性質により、利用後の廃棄段階での取扱が不適切な場合には、地球環境に長く存在し、人の健康面や環境に有害な影響を与 える恐れがあるため、適切な廃棄物管理を行う必要があります。しかし現状は、アジア新興国他さまざまな地域からプラスチックを含む廃棄物が河 川に流れ込み、グローバルな海洋に蓄積するという実態が、政治的・社会的に大きく取り上げられ、学識経験者からも問題が指摘されています。我々化学産業界では、「レスポンシブル・ケア」という理念・活動を積極的に推進しています。これは、化学製品の開発から製造、消費、廃棄・リサイクルまでの全ライフサイクルにおいて、自主的に環境・健康・安全を確保し、更なる改善を図っていく活動です。この「レスポンシブル・ケア」の精神に鑑み、海洋プラスチック問題は化学産業が率先して取り組むべき問題のひとつであると強く認識し、今般、日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、プラスチック循環利用協会、石油化学工業協会、塩ビ工業・環境協会の5団体を共同事務局とする「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」を発足いたしました。海洋プラスチック問題の対応として最も大切なことはプラスチック廃棄物が河川に流出しないことです。そのためには、プラスチック廃棄物管理の社会インフラをいかに整備していくかが大きな課題といえます。日本は、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の考え方により、早くからプラスチックの分別回収システムなどのインフラ整備が進んでおり、今後も廃プラスチック有効利用率の向上を図っていくことが必要です。プラスチック廃棄物を多く排出している国・地域に対してプラスチック廃棄物の管理向上において、日本が果たすべき役割は大きいと考えています。それぞれの国や地域の事情や社会システムを理解しつつ啓発を含めた社会的なインフラ制度構築に向けた協力など、日本政府や同様の意思を共有する他の企業団体とも連携して、積極的に貢献していきます。

2018 年 9 月

JaIME 会長

淡輪 敏