2021年1月5日
一般社団法人 日本化学工業協会
会長 森川 宏平
謹んで新春のお喜びを申し上げますとともに、年の初めにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
昨年は感染症拡大により、世界的に不安と混乱、経済の停滞が起こりましたが、同時に、デジタル化、働き方改革、カーボンニュートラルや循環経済を始めとする持続可能な社会の志向など、起こるべき変化にスピードが加わった年でもありました。
今年は良い変化をさらに進める年です。
米国も政権交代により、環境・経済政策の両面で大きく転換すると予想されますが、わが国の政策においても、デジタル化・グリーン化が掲げられています。
製造方法や材料の代替など、様々な産業で大きな変化が起きる可能性がありますが、時代の変化に対応し、求められるものを提供するのが化学です。デジタル化・グリーン化の発展においても、多くの化学製品が必要とされています。生活様式の変化、働き方改革において、変革の手段であるデジタル技術が進化する中、化学産業はデジタル技術の利用者であると同時に、その進化のカギとなる材料も提供しています。また、風力発電・太陽光発電といった再生可能エネルギー創出を支える材料、二次電池や軽量化材料など、省エネルギーに資する製品を提供している産業です。
必要不可欠な材料を安定供給し、社会からの信頼に応えるためには、「製造時」「製品自体」「使用後」という3つ段階での「安全と環境に対する配慮」の継続が必要です。日化協は、化学品管理や低炭素社会実行計画などの取り組みを最重要テーマとして、レスポンシブル・ケア活動を継続しております。カーボンニュートラルへの貢献も明確にしていくため、LCI(ライフサイクルインベントリ)やcLCA(カーボンライフサイクルアナリシス)といったライフサイクルでの定量的評価も進めてまいります。
また昨年は、菅総理から2050年カーボンニュートラルという大きな目標が示されました。野心的な目標ではありますが、持続可能な社会構築のためのあるべき姿であり、ケミカルリサイクル、CCU(CO2原料利用)、人工光合成など、化学産業が進める技術革新への期待が大きくなると感じています。カーボンニュートラルに向けた取り組みは、日本の化学産業が国際競争力を保つ上でも重要です。
日化協として、柱の一つであるプラスチックのケミカルリサイクルを推進すべく、昨年末には「廃プラスチックのケミカルリサイクルに対する化学産業のあるべき姿」を策定いたしました。この実現には、環境価値を認める社会醸成など、社会実装するための課題も多く存在します。日本全体として力を発揮していけるよう、日化協は、政府・行政、企業と連携して、取り組んでまいります。
本年も、化学産業はソリューションプロバイダーとして、経済成長と持続可能な社会づくりの両立のため、不断の努力とイノベーションを継続してまいります。
以上