小林会長「2015年 年頭所感」

新年あけましておめでとうございます。

日本経済は、消費税増税後、個人消費が低迷し、一部の業種においては弱さが残っているものの、いわゆる「アベノミクス」のうち、「第一の矢」である大胆な金融政策、「第二の矢」である機動的な財政政策が功を奏し、全体的には景気は緩やかに回復しています。しかしながら、中国経済の成長鈍化、欧州のデフレ懸念などの不安要素が見えており、決して楽観視できる状況ではありません。更に、昨今の原油価格の急激な下落は、消費を喚起するというプラス面がある一方、一部の業界には受払差損などの悪影響を与えております。日本政府には、足元の経済対策を早急に実施し、一刻も早く「第三の矢」である民間投資を喚起する成長戦略の実現に向けて取り組んでいただきたいと考えております。

化学業界につきましては、一部の汎用樹脂の出荷が減少しているなど先行き不透明なところはありますが、全体的には緩やかな回復基調にあり、今後もその基調が続いていくものだと期待しております。

さて、日化協は、「安全の強化と水平展開」、「イノベーションの創出と社会への貢献」、「社会とのコミュニケーションの更なる向上」の3つのキーワードに沿って活動しておりますが、本年は、とりわけ下記の3点に注力してまいります。

◯昨年同様、「安全の強化と水平展開」を最優先課題として取り組んでまいります。保安事故防止活動の更なる深化に加え、これまで情報交換等を行ってきました他の業界団体との連携について、具体的なアクションをスタートさせ、これまで以上に積極的に展開する予定です。

◯次に、化学品管理につきましては、本年9月末のICCM4(第4回国際化学物質管理会議)に向け、また温暖化対応につきましては、本年12月のCOP21(国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議)に向け、ICCA(国際化学工業協会協議会)とも連携し、化学業界としての意見・提言を適時・適切に行っていくとともに、ソリューションプロバイダーとしての貢献等について、これまで以上に積極的に発信してまいります。

◯また、イノベーションをつかさどる「人材育成」の強化にも力をいれてまいります。具体的には、大学院博士後期課程を支援する「化学人材育成プログラム」の拡充に向け、支援対象を博士後期課程に限定しない、新たなプログラムの開発を行います。また、化学品管理に携わる人材の育成についても、他の業界団体との連携も視野に入れつつ、強化・拡充していきたいと考えております。

本年も日化協は、日本の化学産業の持続的発展のために努力してまいります。