『化学品のリスクベースでの管理』の業界普及に向けた啓発冊子を発行

一般社団法人 日本化学工業協会(会長:小林喜光 株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役社長 以下、日化協)はこのほど、サプライチェーン全体を通じて化学品の適切なリスクベースでの管理を自主的に行う活動“GPS/JIPS*”の普及拡大に向け、主に化学産業のトップマネジメントをターゲットに、本活動の重要性を啓発する冊子「JIPS 化学品のリスク最小化を目指す化学産業界の自主活動」(A4版、32ページ)を発行しました。 

化学品管理の世界動向には、いわゆる2020年世界目標 『予防的アプローチに留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順を用いて、2020年までにすべての化学物質が人の健康や環境への影響を最小化する方法で生産・利用されること』 があります。これに対応するため、世界各国・各地域の化学工業協会が加盟するICCA(国際化学工業協会協議会)ではGPSという戦略を策定し、サプライチェーン全体を通じたリスクベースでの管理を進めています。 日本では、日化協がGPSの日本版である“GPS/JIPS”を2009年より開始し、ガイダンス作成・配布、リスク評価支援サイト“JCIA BIGDr”の開設、セミナー開催および相談窓口の開設といった取り組みを進めてきました。

サプライチェーン全体を通じたリスクベースでの管理を行うためには、化学品を提供する企業による、その化学品の安全性情報を記載した安全性要約書の公開が特に重要です。GPS/JIPSの開始から約5年が経過し、安全性要約書を公開している日本企業は2015年1月現在で37社、公開件数は383件(海外の関連会社公開分を含む)へと拡大しています。 しかし、日本企業の安全性要約書公開件数は世界の9%程度に過ぎません。 日本の化学工業の出荷額比率は世界で約20%あり、さらなる安全性要約書の公開およびGPS/JIPSの推進が必要です。GPS/JIPSは事業戦略としても重要な意義を持つため、トップダウンでの推進を目的としてトップマネジメント向けに本冊子を作成しました。

本冊子では、化学品管理の世界動向や、国際的潮流となっているリスクベースでの管理、安全性要約書の役割などを解説しているほか、日化協による支援内容も紹介しています。 日化協では、今後、加工メーカーや部品メーカーなど川中・川下企業に向けた説明資料も作成し、サプライチェーンのより広範囲におけるリスクベースでの管理の普及拡大を図っていきます。

⇒冊子はこちらからお読み頂けます。