レスポンシブル・ケア実施項目の傾向
 会員各社の実施計画書/報告書から最近の活動項目の傾向を紹介します。

1)新たな取り組み項目
 リスクマネジメント・コンプライアンスの強化、VOC規制対応、安全輸送管理システムの構築、フロン以外及びHFCの代替技術の開発など。

2)取り組む会員が増えている項目

 JRCC第3者検証、廃棄物ゼロエミッション、グリーン購入・調達、サイトレポートの発行、環境報告書のCSR面の充実、海外関連会社のRC活動支援、メンタルへルスケア、OSHMS導入、容器イエローカード導入、欧州REACH等関連法規調査など。
   
土壌・地下水汚染について
 2003年度は、回答のあった98社のうち63社(64%)が計132カ所の土壌・地下水汚染調査を実施し、うち22社の計30カ所(23%)で基準値を超える汚染が発見されました。
  調査実施の理由(重複回答あり)は自主的なものが75%と最も多く、法または条例に基づく調査は29%でした。
  また、過去の調査分を含めて2003年度に汚染対策を実施したのは32社、53カ所で、対策の方法は右のグラフの通りでした。
   
調査実施理由(複数回答)
汚染対策(複数回答)
PCBについて
 回答97社中81社(84%)がPCB廃棄物(PCBまたはPCBを含有する機器等の廃棄物)を保管していますが、PCB廃棄物の処理施設の整備がこれからという事情もあり、2003年度中に処理できた会員は1社だけでした。
   
大規模地震への対応について
 2003年には、北海道・東北地区で地震が頻発し、また東海地震など今世紀前半での大規模地震の発生の確率が高まってきている地域もあります。これら大規模地震を想定した各種対策の状況は右のグラフの通りです。
   
レスポンシブル・ケア レポートについて
 会員企業は社会からの信頼性を向上させるため、コミュニケーションに努めています。そのコミュニケーションの方法として、レスポンシブル・ケア レポートを作成し、自社の方針や活動内容を社会に公表しています。

1)レスポンシブル・ケア レポートの発行状況
  レスポンシブル・ケア レポートを発行している会員数は毎年増加しており、2003年度は回答会員の約70%弱に当たる63社の会員が発行し、着実に増加しています。

2)地域版レスポンシブル・ケア レポートの発行状況
  地域版(サイト)レポートを発行する会員数も年々着実に増加し、2003年度には23社が発行しています。また、レスポンシブル・ケア レポート発行会員の約62%に当たる39社が全社版のレポートにサイトのページを設けています。

3)レポートの記載内容

  RC活動のレポートとして、レスポンシブル・ケアの実施項目(環境保全、保安防災、労働安全衛生、化学品・製品安全、物流安全)と社会とのコミュニケーション(対話)について記載されていますが、これらの中で環境保全以外は2002年度よりも記載率が減少しています。最近のCSR(企業の社会的責任)への関心の高まりを受けて、人権・雇用・消費者保護など社会的取り組みについての記述も増えてきていることから、従来のRCレポートという枠組みを越えた情報開示を行なう段階で、各社で記載項目の優先順位に違いが出てきていると考えられます。
  一方、第三者の意見を掲載している会員は24社と前年度の第三者検証を受けた会員数15社から大きく増加しています。レスポンシブル・ケア検証センターによる報告書の検証も始まっており、今後も増加すると思われます。

 

レスポンシブル・ケア レポート発行状況
地域版レスポンシブル・ケア レポート発行状況
レポート記載内容
事業運営で関心の高い(影響ある/問題視している)項目について
 98社の複数回答によると、共通の関心事は今回からアンケートの項目に加えた産業廃棄物対策と、PRTR、大気汚染防止法改正によるVOC(揮発性有機化学物質)規制であり、それにREACH、地震対策、地球温暖化が続いています。
  ダイオキシンやフロン代替、シックハウスへの関心が低くなっているのは、ダイオキシン対策法や改正建築基準法への対応など、対策の効果が明確になって社会の理解も進んできたためと考えられます。